広告批評

『広告』についての色々書きます。

「書かなきゃいけない人のための(Web)コピーライティング教室」を読んで

 

 

 

いつもお世話になっております。

広告批評です。

 

広告について書かれた本の読書感想文です。

 

今回は(株)Rokkaku の代表取締役でコピーライターの

森田哲生さんの著書

「書かなきゃいけない人のための(Web)コピーライティング教室」を読みました。

僕は森田さんのツイッターもフォローしています。

ほんわか面白いですよ。

 

さて、感想ですが。

「読んでよかった、楽しかった。」です。

 

どこが「読んでよかったのか」というと

森田さんがコピーライティングの構造を丁寧に追求しているところです。

 

僕のこのブログでもちょこちょこと実践としてのコピー

「今日のキャッチコピー」を発表していますが

僕の書き方は、書く態度、姿勢は、森田さんに比べれば

やや神秘主義ロマン主義です。根拠は全て後付けです。

そして、当然ですが、この態度に自分では自信を持っています。

 

ただ、森田さんは僕と違ってロマンの裏側を丁寧に丁寧に、丁寧に見つめます。

僕は、主義は異なれど、この本から伝わってくる(またツイッターでもその姿勢の端緒は垣間見れる)

森田さんのコピーへの向き合い方はすごく真摯的でリスペクトに値するものだと感じました。

 

まず、読者への共感が具体的です。

タイトルからして、その姿勢がビシビシ感じられます。

「書かなきゃいけない人のための」ですから。

それは本文中でも最後まで貫き通されています。

 

そして、読者への指示が具体的です。

上記の通り、森田さんはこの本を通じて

「構造を意識せよ」

と繰り返し教えてくれます。(おそらく社内でも口すっぱくそう教育しておられるのではないでしょうか)

僕なりに言い換えれば「まず分解して枠組みを作れ」ということです。

 

コピーライティングというものは、書く人にとっては
「無から有を作り出す」ような魔法の作業に捉えられがちです。

(僕は個人的にはまだこの魔法を信じています、若いので許してください)

 

でも、そんな魔法の作業にも、現実にはちゃんと準備が必要で

その準備さえ適切に執り行えば、誰でも「魔法を使うことができる」と

説明してくれます。この魔法の例えは本文中でも採用されています。

(僕の言っている意味とは全く違う文脈において、ですが)

 

最初に紹介した通り、森田さんは会社経営者です。

経営者は資産を準備する存在です。資産とは「設備」「システム」です。

ゴーイングコンサーンである会社にとって、

またその運営者である森田さんにとっては

この設備、システムと人材、アイデアを掛け合わせ

確実にある一定のクオリティ、価値、バリューを提供するという責任があります。

だとすると、その設備を常にクリーンに保ち、システムを最新の物にアップデートできれば

誰を雇っても、また誰に教えても一定の水準をクリアするものは出来上がる。

そんな自信と確信と具体的な提案を、この本から感じました。読んでよかったです。

 

続いてどこが「読んで楽しかった」のかというと

「文体」「言葉のリズム感」です。ここからは超主観的な見解です。

この本の最終章にもトピックとして示されていますが

「トンマナ」が心地よかったです。

僕にはない品の良さを感じました。

実際の森田さんの講義やセミナーに出たことはないのでわからないですが

おそらく穏やかに、冗談も交えつつ、話をされるんじゃないでしょうか。

まぁその語り口がうざったくなく、フムフムと聞き続けられます。

(僕もそんな話し方は好きですが、根が下品なのでウザがられます)

あとがきを読んで(やっぱり!)と思って嬉しかったのですが

この本を制作のするにあたって森田さんがルールを設けたと言っています。

その一つが「読み物として楽しめないとボツ」ということだそうです。

その意図は少なくとも僕にとってはアタリの効果を発揮しました。

読んで楽しかったです。

 

 

 

とまぁ、感想を書きましたが、ほとんど本文の内容には触れませんでした。

書かれてある内容が具体的なのであまり触れすぎるとネタバレになっちゃうからです。

ですが、前回読んだ本に比べると、感想が書きやすかったです。

なぜかと言えば、書かれてある内容に無駄がなく、解釈の幅が絞られていたからです。

ほとんどの「コピーライター著」系の本は

「何か言っているようで、何も言っていない、でも何かを感じる」ものばかりです。

その点、森田さんの本は表現は柔らかく、されど内容は凝固していて持ちやすい。

そんな印象の本なのでとっかかりやすく、読みやすく、語りやすかったです。

 

 

おしまい